ブロードバンド論

ブロードバンドブームに乗って、インターネット関連企業各社はやっきになって
ブロードバンド専門サイト、すなわちネットTVサイトを次々と立ち上げ始めた。

そもそも今ブロードバンドと呼ばれているもの → ADSL の 1.5Mbps 程度で、実際にはブロードではなく「ミドルバンド」にあたる。 → これで映像配信しても画質のクオリティーが悪い → そのうえ、コンテンツのクオリティーもテレビのほうが上。

この状況でいくらブロードバンドがテレビを目指したって、誰だってテレビを選ぶはずだ。

テレビ業界はビジネスモデルが確立し、お金が集まる仕組みが出来ているから → いいコンテンツがたくさん出来るのは当然で → ゆえに一般ユーザーもテレビを見るのだ。いまやテレビは文化として成立している。

しかしテレビというメディアが完璧なわけではない。その理由は、
・プッシュのみ、いわゆる一方通行である
・タイムテーブル、放送時間が決まっている
・CMや見たくない情報まで入っている

……すこし考えただけでもこれだけの弱点が出てくる。それもそうだ。根本的な部分は何十年も前と変わらない技術なのだから。デジタル放送になったところで、この根本的な部分というのはあまり変わらないだろう。

→つまり「テレビというメディアは完璧ではない」のにお金が集まる仕組みがあるからメディアとして成立していることになる。

さて、ここでブロードバンドに話しを戻そう。

今、インターネット関連企業各社はこぞって、ブロードバンド専門の映像サイトを立ち上げ始めている。
しかもネットの特性を生かした双方向サービスというより、テレビを模倣したようなものが多い。
なぜテレビを目指すのか?「ブロードバンド=映像=テレビ」という固定観念にとらわれている。

実際には、テレビメディアという形式が良いのではなくて、テレビに流れるコンテンツが優秀なだけだ。テレビがつまらなくなったという声も多いが、影響力は確かにある。何十年という歴史と、蓄積されたノウハウもある。大きくお金が動くだけに、才能ある人材が集まるのも必然。

で、肝心のネットテレビの中身といえば、お粗末なものだ。そもそもお金が集まる仕組み(ビジネスモデル)がないのに、誰もが見るコンテンツ(マスメディア)を作るなんて難しい。

じゃあどうすればいいんだろう?

上にも書いた通り、ビジネスモデルも無いのにマスメディアを目指す必要はまず無い。
そして映像を流すことにこだわる必要もない。

きっと「ブロードバンド=映像=テレビ」という公式しか見えていないのだろう。なぜか、「インターネット」と「ブロードバンド」が別物に見てしまっているのだ。そもそも「ブロードバンド」とは、「インターネット」という大きな括りの中の一部分に過ぎないのに。

ゆえにインターネットの特性は無視できない。
テキストと静止画だ。

現状のブロードバンドコンテンツは、映像ベースになってしまっている。
つまり、テクノロジーありきで肝心のコンテンツが置き去りになってしまっている。

インターネットビジネスのノウハウの1つに「テクノロジーありきではなくコンテンツありき」がある。この業界、テレビビジネスのノウハウこそ無いが、インターネットビジネスのノウハウならある。ブロードバンドもインターネットの1つとして認識し、これらのノウハウを忘れないようにしなければならない。

じゃあ具体的にはどうしたらいいだろう?

インターネット上で映像をみせたいなら、あくまでコンテンツを中心としてその延長線上に映像を置くべきである。コンテンツというかたまりを、横で切るのではなく、縦で切ってみる。そうすると3つのレイヤーが見える。

3 映像(ビデオ)
2 静止画(イメージ)
1 文字(テキスト)

これでいくと、3番がブロードバンドにあたるわけだ。現状 3番しか見えていないので、1,2を飛ばしてイキナリ3をコンテンツとしているのだが、それでは効果が薄いってこと。

なぜか?

○従来のテキスト・イメージが重要なわけ
・インターネットはいまだにテキストベースである<検索エンジンが情報検索の主要手段だから
・斜め読み、読み飛ばしが出来る、知りたい部分だけ読むことが出来るテキスト<プッシュではなくプル
・見たいシーンだけを詳細に見ることが出来る<1枚の画像次第でユーザの興味をひくこともできる

○プッシュとプルという考え方
・映像メディアは基本的にプッシュで、発信側優先の技術である。
・逆に、テキスト・静止画はプルで、受け手優先といっていいだろう。

で、どちらが良い悪いではなく、プッシュとプルのバランスが重要なのだ。

インターネットの世界は基本的にプルで成り立っている。ユーザは自ら興味を持った分野のコンテンツをテキストや静止画を手がかりに探しに来る。そこでユーザが欲しがっている情報をピンポイントでプッシュしてあげれば間違いなく歓迎されるはずだ。そこではじめて、映像の出番なのだ。

そんなわけで、この3つのレイヤーを意識しながらコンテンツを構成していくことが重要と言うわけだ。

最後に、テキストと静止画以外のインターネットの特性も忘れてはならない。僕の考える、ブロードバンド企画で成功する秘訣は以下の3つだ。かるく参考にされたし。

1.コミュニケーション・双方向のアクション
ブロードバンドコンテンツを考える上で一番重要なキーワードになるはずだ。テレビにはできない強みだし、これを活用しないとブロードバンドでやる意味が無い。今までテレビやネットなどで放送されてきたコミュニケーション型の番組といえば、映像:双方向が 9:1 の割合で、せいぜいアンケートをとったりFAXを募集したりするぐらいだった。これではつまらない。この比率が逆になるとか、視聴者からのアクションがないと番組にならないぐらいの映像があっても面白いのかもしれない。

2.個人・ローカル・ニッチ
実はインターネットの世界ではマスメディアより個人の力が強い。インターネットを長年やっているとわかるのだが、不思議なことに定期的に訪れるサイトは、ある特定の個人サイトたちに絞られていくのだ。また、ネット先進国のアメリカ は、ネット歴が浅い日本ユーザーより、インターネットで地域情報を入手している率が高い。インターネットはマスメディアでは入手できないニッチ・ローカルな情報ニーズにぴったりということだ。

3.低コスト・リアルタイム系・公募系
テレビのように、膨大な制作費を使ってみんなに見てもらうのではない。2番を見れば分かるように、ごく限られた人たちだけに見てもらえればよいため、コストを極限までおさえなければならなくなる。しかしインターネットではそれが可能だ。

以上。